便潜血検査
便潜血検査は、目視できない量の血液が便中に入っていないかを確かめる検査です。健康診断などでよく実施されている検査の一つで、大腸がんを見つけ出すことを目的に行われているスクリーニング検査です。 ただし便潜血検査で、「消化管(口から肛門まで)からの出血」の有無を調べることは可能ですが、原因や出血箇所まで調べることはできません。原因や出血箇所を調べるには、さらに精密な検査を受ける必要があります。
精密検査を受けた結果、痔が見つかるケースが多いのですが、それも一時的な出血にすぎない痔がほとんどです。
ただし、大腸カメラ検査を受けた結果、大腸がんの前がん病変である大腸ポリープが見つかることも少なくありません。ポリープやがんを早期発見・早期治療するためにも、陽性が出た方は放っておかずに、速やかに大腸カメラ検査を受けることを推奨します。
便潜血検査と大腸がん
便潜血検査は大腸がんのスクリーニング検査ですが、陽性だからといって大腸がんがあるとは限りません。陽性が出た方は、大腸カメラ検査を受けていただき大腸がんの有無を調べる必要があります。
ただし便潜血検査を受けたとしても、早期大腸がんの50%、進行大腸がんの20~30%が見逃されている(陰性反応が出ている)と報告されているため、陰性になった場合でも油断は禁物です。
便潜血検査で陰性だった方、大腸ポリープの発症リスクが増えてくる40代以降の方はぜひ大腸カメラ検査を定期的に受けて、大腸がんの予防に努めていきましょう。
便潜血検査の陰性・陽性
便潜血検査は、便に血液が混じっているかどうかを調べる検査ですので、痔などで陽性になるケースも少なくありません。
また、大腸ポリープや進行大腸がんがあった場合でも、出血が起きていない限り、陰性だと判定されてしまいます。
陽性だった場合
消化管から出血している疑いがあります。便潜血検査で大腸がんが見つかる確率はたったの数%ですが、がん化リスクのある大腸ポリープが発見される確率は40%前後もあると言われています。
大腸カメラ検査では大腸がんの早期発見と、前がん病変である大腸ポリープの発見・切除ができるので、陽性の方は放置せずに、早い内から大腸カメラ検査を受けて予防と治療に努めていきましょう。
陰性だった場合
便潜血検査のみを受けた場合、早期大腸がんの約40%が、進行した大腸がんの20~30%が見逃されてしまいます。硬い便と大腸がんが擦れることで消化管が出血を起こした結果、陽性になる方もいます。
一方で、水分の多い便が通るところにがんが発生した場合や、平坦な形をしているがん・小さいがんの場合は、出血を起こさないため、陰性になる傾向が強いです。 大腸がん・大腸ポリープがないとは言い切れないため、陰性だった方も気を付けていきましょう。
正確な検査結果を得るにはどうすればいいのか
便潜血検査は「2回法」で行われることが多いです。出血の有無を正確に確かめるため、2日に分けて便を採取していきます。
採取する便量が多すぎる、または少なすぎると、正確な検査を行うのが難しくなってしまいます。採便容器に採取方法が書かれていますので、その手順に従って採取していきましょう。 また血液は、時間の経過や温度の影響に大きく左右されます。
劣化すると検査の精度に悪影響を及ぼしてしまうため、採取を行うタイミングが重要です。室温25度の環境で1週間ぐらい保管するだけでも、血中のヘモグロビンは半分近くまで減ってしまいます。
そのため便の採取は、できるだけ提出する日時に近いタイミングで行ってください。