ジオン注射

ジオン注射(ALTA療法)

ジオン注射ジオン注射(ALTA療法)とは、いぼ痔を手術で治すのではなく、注射だけで治療していく治療方法です。局所麻酔のみなので治療時の痛みがほとんどない、出血・脱出が改善できるといったメリットで、近年注目を浴びています。
目立った外痔核を併発していない内痔核の中でも、脱肛(内痔核が肛門から出てしまう状態)している、進行Ⅱ度~Ⅳ度の内痔核の治療に合っています。出血・脱出の改善に期待できる方法ですが、再発した、もしくは効果がなかった患者様も、10%の割合で存在しています。
硫酸アルミニウムカリウム水和物やタンニン酸という薬剤を、痔核のある部位に4ヶ所打っていきます。術後から約2週間は安静にしていただく必要がありますが、手術後に起こりやすい出血がほとんどなく、かつ日帰りで受けられるというメリットもあります。
20万人以上の治療実績もあり、3割負担で受けることも可能です。

ジオン注射をお勧めしたい方

ジオン注射をお勧めしたい方目立った外痔核が見られず、かつ脱肛を伴っている内痔核(いぼ痔)に適している治療法です。痔核に注射を行うだけで、仙骨硬膜外麻酔または局所麻酔を施すため痛みもほとんどありません。
また手術とは異なり、治療後の痛み・出血といった合併症もほとんどなく、日帰りで受けることができます。内痔核にお困りの方で、かつ下記に該当している方は、ジオン注射をお勧めします。

  • 排便時に出血を起こしている方
  • 排便時に脱肛しているのが確認できる、もしくは脱肛したまま戻らない方
  • 上記の症状が見られ、坐剤・軟膏を使ってもなかなか治らなかった方

ジオン注射を受けることができない方

  • 妊娠中または授乳中の方
  • 透析を受けられている方
  • 前立腺がんなどの治療で、放射線治療を受けたことがある方
  • 潰瘍性大腸炎の方
  • 小児の方
  • 嵌頓痔核(かんとんじかく)の方
  • 全身状態が良くないと医師から判断された方

ジオン注射の流れ

1step1

局所麻酔または仙骨硬膜外麻酔を施します。

2step2

麻酔が効いているかを確かめてから、ジオン注射を開始します。
1つの痔核に対して、4つの部位(上極部粘膜下層と央部粘膜下層、中央部粘膜固有層、下極部粘膜下層)に分けて注射していく、「4段階注射法」で行います。
注射は麻酔も含めると、だいたい30分ぐらいで終わります。

3step3

注射後の出血ですが、ジオン注射が終わってから2~3日ぐらい経過すると、止まるようになります。

4step4

術後の脱出の有無は患者様によって異なり、早い方ですと翌日から脱出しなくなります。
遅くても1ヶ月ぐらい経過すると、改善されます。

治療のメリット・デメリット

メリット

「脱肛(内痔核が肛門から脱出してしまう)」を伴う内痔核を、切らずに注射だけで治療できるというメリットが一番大きいです。

  • 日帰りで行えるので入院が不要になる、仕事や家事などへの影響が最小限で済む。
  • 切らない治療法なので、術後の痛み・出血といった合併症がほとんどない
  • すぐに終わるので、心身ともに負担が少なく済む
  • 健康保険が適用されるため、医療費の負担も軽減できる

デメリット

  • 脱肛する内痔核全てが治るとは限らない。容態によっては手術以外の方法で治すのが難しいケースもあり、手術とジオン注射を組み合わせたハイブリット治療(E on ALTA)の方が良いこともある
  • 約10%の方に再発が見られる。また、治療した部位とは違うところの痔核が大きくなり、異所性に再発するケースもある。
  • 場所や打つ角度、方向、深さ、薬剤の量などを徹底して守る必要があるため、難易度が高い治療法とされている。
    専門的な教育カリキュラムを受けた認定医がいる医療機関でしか受けられないため、ジオン注射に対応していない肛門科もある。そのため、事前に調べる必要がある。

術後における注意点・副作用(偶発性・危険性)

診察日帰りで受けられる治療法ですが、治療が終わった後は帰宅して安静にする必要があります。可能であれば2日ほど仕事を休んで、自宅で過ごしていただくことを推奨します。術後から2週間程度は、激しい運動・飲酒などをお控えください。
またジオン注射の副作用として、注射部位の腫れや痛みが現れることがあります。肛門部分が重く感じる方もいれば、肛門が狭くなったような感覚があり「便が出にくい、残便感がある」と感じる方もいます。これらの症状は時間の経過とともに、自然と改善されますのでご安心ください。ただし腫れは「いぼ」になって残ってしまう可能性もあります。また、術後の出血は少ないとされていますが、直腸に潰瘍が生じて出血する可能性もゼロとは言えません。潰瘍は治るまで、半年ぐらいかかるケースもありますが、ほとんどの場合は自然と良くなります。気になる症状が現れた際は、お気軽に当院までご相談ください。

費用

ジオン注射(ALTA療法) 30,000円程度

診察料・他検査料等は別途かかることがあります。

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