胸部レントゲンAI診断システム「CXR-AID」を導入
健康診断をはじめ一般的に広く行われている胸部単純レントゲン検査では、X線で撮影した画像を医師が読影し、肺炎・肺がん・気胸・結核といった胸部疾患の診断に役立てます。胸部疾患には短期間に重症化する可能性の高い疾患があり、早期発見と適切な治療が重要になっています。ただし、胸部単純レントゲン検査の画像は、骨や血管なども重なって映り込んでいますので、病変の大きさや位置などによっては視認性が低下し、早期発見が困難なケースが存在します。
こうした問題を解決するために開発されたのが、富士フイルム社のAI診断システムCXR-AIDです。このシステムでは、胸部単純レントゲン画像を自動解析し、結節、腫瘤影、浸潤影、気胸といった異常が疑われる領域の検出とマーキングを行うことで医師の診断をサポートします。医師が読影する際にマーキングされた部分を再確認することでより高い精度の診断が可能になり、見落としもより少なくできます。
当院では、このAI診断システムCXR-AIDを導入することで診察や健診の際の胸部レントゲン画像診断精度を高め、見落としを防ぎ、疾患の早期発見に役立てています。
なお、異常が発見された際にはCT・MRIなどによる精密検査を行って確定診断となります。当院では、連携医療機関でのCT・MRI検査が可能です。
CXR-AIDの機能
AI診断システムCXR-AIDでは、撮影されたレントゲン画像を人工知能(AI)が数十秒で自動的に解析し、病変の疑いがある領域の検出とマーキングを行います。医師は画像全体を読影する際に、マーキングされた領域を再確認した上で診断します。AIと医師が画像をダブルチェックすることで、初期の微細な病変の早期発見につながり、見落としのより少ない検査と精度が高くスピーディな診断が可能になります。
病変検出機能
AIの検出対象は、結節・腫瘤影、浸潤影、気胸となっています。主な肺疾患の診断につながる異常であり、早期発見が重要な所見です。
結節・腫瘤影
浸潤影
気胸
ヒートマップ表示機能
異常が疑われる領域をAIが自動的に解析し、確信度に合わせた表示を行います。確信度のスコアは0~100に分かれており、画像では色分けによるヒートマップとして表示されます。
スコア表示機能
0~100に分けられた確信度スコアの最大値が数値として表示されます。
スコア値が高い場合
胸部レントゲン所見のスコア値は、数字が大きいほど治療が必要な病変である可能性が高くなります。スコア値が高い場合には、胸部CTによる精密検査を受ける必要があります。
スコア値が低い場合
胸部レントゲン所見のスコア値が低い場合、血管や骨、過去の炎症による瘢痕など、問題がなく治療も必要ない所見の可能性が高くなります。この場合は精密検査の必要はありません。
スコア値が中間の数値の場合
胸部レントゲン所見のスコア値が中間である場合、治療が必要かどうかの判断が難しい状態です。中間の数値が出た場合には、1~数ヶ月後に再度の胸部レントゲン撮影を行い、スコア値に変化がないかを確かめます。スコア値が増えている場合には治療を必要とする病変の可能性が高くなります。
他社のシステムとの違いと特徴
胸部レントゲンAI診断システムは現在、富士フイルム社を含め数社から提供されています。ただし、富士フイルム社のAI診断システムCXR-AID以外のシステムにはスコア値測定機能がありません。
スコア値測定機能は、1回の検査による精密精査の必要性だけでなく、経過観察によるスコア値の変化による検査の必要性の判断も可能になり、早期発見につながります。