肝臓内科について
当院では、肝臓専門医がガイドラインに基づき適切な検査・治療を提供します。肝臓をメインに胆のう、膵臓といった臓器も含まれます。脂肪肝やB型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎治療から、胆のうポリープ、膵のう胞まで幅広く対応しています。
高度な検査や治療が必要だと医師が判断した場合は、連携先の高度医療機関などへ紹介し、適切な医療を受けていただけるようサポートして参ります。
超音波検査(エコー)について
当院の肝臓内科の特徴
肝臓専門医が診療します
肝臓専門医が、最新のガイドラインに基づき診断と治療を行います。脂肪肝からウイルス性肝炎、肝硬変まで様々な疾患に対応できます。
東京都肝臓専門医療機関の指定医療機関です(2023年7月より)
ウイルス性肝炎の治療(インターフェロンフリー療法、核酸アナログ療法)が可能で、B型・C型ウイルス肝炎医療助成を受けられます。(ご自身での事前申請が必要です)
高精細・高画質な腹部超音波検査(エコー検査)が可能
当院では最新の腹部超音波検査(エコー検査)機器を導入し、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓を綿密に観察することができます。
提携医療機関でCT、MRI検査が可能
提携医療機関で造影剤を含めた、CT、MRI検査が受けられます。より精度の高い検査が可能となります。
健診で肝機能障害と言われた方へ。そのままにしていませんか?
実は、肝臓自体には痛みを感じる神経が存在していません。そのため、かなり疾患が進行してからやっと、自覚症状が現れるようになります。この特徴から肝臓は「沈黙の臓器」と言われているのです。悪化するまで分からないケースが多いため、健康診断で肝機能異常を指摘された方、「身体がだるい」「疲れている」といった不調がある方は、特に注意する必要がありますので、放置せずご相談ください。
肝臓がんについて
現在の日本でも、肝臓のがんである肝がんにより、毎年約3万人が亡くなっています。肝がんは他のがんと異なり、脂肪肝やウイルス性肝炎といった慢性の肝臓病を有することが多く、長期間、肝細胞の破壊や再生を繰り返すことが発がんの大きなリスクとされています。このような慢性の肝臓病を早期発見し、適切な治療を受ければ肝がんを防ぐことが出来ます。近年、C型肝炎を筆頭に、肝炎ウイルス治療が急速に進化してきておりますので、早期発見し治療することが非常に重要です。C型肝炎は注射薬を使用せず、内服のみでの治療が可能な「インターフェロンフリー治療」という治療法が登場し、副作用も少なく、高確率に治すことができるようになってきました。
診察の流れ
問診
問診では、現在悩んでいる不調や症状、それらが現れ始めた時期などについて、丁寧にお伺いします。また、既往歴(今までに発症したことのある疾患)、現在服用されているお薬、漢方、サプリメント、手術・輸血を受けたことがあるかどうか、海外渡航歴、家族歴などについてもお聞きしていきます。
検査
ウイルス性肝炎の治療(インターフェロンフリー療法、核酸アナログ療法)が可能で、B型・C型ウイルス肝炎医療助成を受けられます。(ご自身での事前申請が必要です)
血液検査
腹部超音波検査(エコー検査)
腹部超音波検査(腹部エコー検査)では、おなかの皮膚表面に超音波を発するプローブをあてて検査します。肝臓、胆のう、膵臓(一部)、脾臓を見ることができます。肝機能障害を指摘された方、慢性肝炎や脂肪肝がある方、肝臓疾患のある方に最も基本となる検査です。負担が少なく被ばくなどの問題がありません。
エラストグラフィ
肝臓の繊維化(肝臓の硬さ)を測る装置です。肝硬変超音波(エコー)の機械にプラスされた機能で、「臓器の硬さ」や「肝臓の線維化」を判別する検査です。
CT、MRI検査
B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、肝硬変などで発がんリスクの高い方は、提携している医療機関でMRIやCTを施行しがんの早期発見に努めます。
肝臓内科で診療する主な疾患
脂肪肝
脂肪肝てどんな病気なの?
脂肪肝とは肝臓に脂肪が異常に蓄積されている状態です。つまり、アルコール摂取や食べ過ぎにより、使いきれなかった糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に中性脂肪が蓄積(脂肪が肝細胞の30%以上を占める)された状態です。 脂肪肝は、「ただ肝臓に脂肪がついているだけでしょ」を言われる方が多いですが、脂肪肝→慢性肝炎→肝硬変→肝がんへと進行することがあり侮れません。 脂肪肝と言われたら、症状がなくても定期的な診察、検査、健診を受けることが重要です。
脂肪肝の原因
お酒や肥満、糖尿病など様々です。アルコール
脂肪肝の症状
症状はほとんどないため、慢性肝炎や肝硬変になってから発見される方も多いです。
脂肪肝の検査
- 血液検査
- 腹部超音波検査(エコー検査)
が基本となります。 血液検査ではALT(GPT)、AST(GOT)、y-GTPの上昇が認められることが多いです。 腹部超音波検査(エコー検査)では、通常よりも白っぽく観察されることが多くblight liverと言われます。 線維化が進み脂肪肝からの肝硬変が疑われる場合にはエラストグラフィというもので肝臓の硬さを計測します。 腫瘍が疑われる場合には、提携医療機関でCT、MRIを施行します。また、肝生検と言って実際に肝臓に針を刺して、肝臓の組織を採取し、病理診断をすることもあります。その場合、入院が必要となるため専門医療機関で施行されます。
脂肪肝の治療
脂肪肝は生活習慣の改善をすれば良くなります。
禁酒 | 節酒では再度量が戻ってしまうことが多いため、禁酒を基本とします。 |
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食事療法 | 低カロリー、低脂質でバランスの良い食事をとるようにしましょう。 |
運動療法 | 週に数回でも定期的な運動を心がけましょう(30分以上の汗ばむ有酸素運動)。 |
上記の3つが基本です。改善を認めないときには、内服治療をすることがあります。 また、肝硬変をきたしている場合には、肝硬変の治療をします。
脂肪肝の多くはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を合併しており、生活習慣病の代表的な病気である脂質異常(高中性脂肪)や糖尿病を誘発して、動脈硬化を進行させるリスクが高まります。 これらの治療を並行して行うことが重要です。禁酒、食事療法、運動はこれらの生活習慣病も改善し、相乗効果でよくなります。
ウイルス性肝炎
ウィルス性肝炎は5種類あり、A型とB型、C型、D型、E型があります。EBウィルスやサイトメガロウィルスなどのような、症状として肝障害を引き起こすウィルスもありますが、まだ確認されていないウィルスもあります。A型(衛生環境が劣悪な地域での経口感染)、E型(鹿肉、猪肉の生食)は主に食べ物を介して感染します。B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染します。 下記に記載しますが、B型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因にもなります。
急性ウイルス性肝炎は、先述したようなウィルスに感染することによって、急性の肝機能障害が引き起こされている状態です。主な症状として、食欲不振や吐き気、嘔吐、倦怠感、黄疸、発熱などが挙げられますが、症状がでない場合もあります。急性肝炎では入院が必要になるケースが比較的多いですが、適切な治療により多くの方は回復します。ただし、急速に進行する劇症肝炎になると、命に関わるようになり、肝移植が必要になる可能性もあるため注意が必要です。
B型慢性肝炎
B型肝炎ウィルス(HBV)に感染することによって起こる肝炎です。感染の原因としては、輸血や母子感染、性的接触などが挙げられます。集団予防接種が原因であることもあります。
B型肝炎には、一時的に急性肝炎を起こすものの治ってしまうタイプ(一過性感染)と感染が持続するタイプ(持続感染)に分かれます。生後早期に感染すると、持続感染を起こしやすいと言われています。また、持続感染している方の1~2割が、慢性肝炎へ移行すると報告されています。進行すると、肝硬変による腹水や黄疸、肝性脳症を発症し、がんの発症リスクも高くなってしまいます。加えて、急激に悪化する急性憎悪や劇症化を起こすと命に関わる状態になる恐れもあります。B型肝炎と診断された場合、定期的に受診し血液検査と腹部超音波検査(エコー検査)を受けることが重要です。
肝臓の数値が高くて慢性肝炎の進行リスクがある方、肝機能に問題はないが抗がん剤・免疫抑制剤の使用などによって、急激に悪化するリスクがある方は、特に厳重な治療計画が必要となります。
B型肝炎の核酸アナログ製剤による治療、インターフェロンによる治療を行う患者様は「肝炎助成金」の申請により一定額の負担のみでB型肝炎に関する治療が可能です。
詳細は、東京都保険福祉局のホームページをご参照ください。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/kanen/bcInterferon.html
(東京都保険福祉局 B型・C型ウイルス肝炎治療医療費助成制度から引用)
C型慢性肝炎
C型肝炎ウィルス(HCV)に感染することで生じる肝炎です。日本で感染している方の感染経路の多くは、輸血や血液製剤の使用によるものです。C型肝炎では、感染した方の約3割は、ウイルスの自然排除が見られ一時的な急性肝炎を起こすものの治ってしまうタイプ(一過性感染)ですが、約7割では持続感染し、慢性肝炎へと移行します。慢性感染した方の、多くは肝臓の線維化をきたし、肝硬変・肝細胞癌と進行するため、C型肝炎を早期発見し治療を開始することが極めて重要です。
この数年間で医学が大幅に進化し、C型肝炎は治せる疾患となりました。インターフェロン治療に取って代わって、副作用の少ない内服のみの加療で治療成功率ほぼ100%を達成できる時代となりました。治療により大幅に肝硬変や肝がんになるリスクは減らせますが、発がんリスクは残るためC型肝炎治療後も、定期的に受診し血液検査と腹部超音波検査(エコー検査)を受けることが重要です。
C型肝炎は治すことができます。肝硬変やがんになる前に、早めに発見し治療しましょう。輸血や血液製剤の使用歴のある方や、その他感染の可能性がある血液暴露などがあった方はご相談ください。
C型肝炎のDAA(インターフェロンフリー)による治療、インターフェロンによる治療を行う患者様は「肝炎助成金」の申請により一定額の負担のみでC型肝炎に関する治療が可能です。
詳細は、東京都保険福祉局のホームページをご参照ください。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/kanen/bcInterferon.html
(東京都保険福祉局 B型・C型ウイルス肝炎治療医療費助成制度から引用)
自己免疫性肝炎
細菌やウイルスなどの異物を排除するはずの免疫の異常によって、自分の肝臓を攻撃してしまう自己抗体ができてしまう病気です。自己免疫性疾患といいます。重症度によっては難病指定されています。
一般に中年の女性に多く、症状は目立たないことが多いのですが、進行して肝硬変になる可能性もあります。また、他の自己免疫性疾患(関節リウマチや甲状腺炎、シェーグレン症候群など)を併発するケースもあります。
ステロイドを用いて治療していきますが、治療を途中で止めると一旦緩和されていた炎症が再発しやすくなるため、治療を続けて進行を食い止める必要があります。
原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変)
肝臓には栄養の代謝や解毒、胆汁の生成など、たくさんの役割を担っています。肝細胞が作った胆汁は、総肝管から胆のうへ入ります。胆のうへ入った胆汁は濃縮され、十二指腸へ出されます。原発性胆汁性胆管炎とは、肝臓内にある細い胆管が壊され、胆汁の流れが滞ってしまう自己免疫疾患です。
指定難病の一つで、原因は未だに解明されていません。 進行すると肝硬変や肝不全といった症状が起こります。
以前は進行してから発見されることが多かったため、原発性胆汁性肝硬変と言われていました。
他の自己免疫疾患と同じように、中年以降の女性に多く見られる傾向があります。 病期・病態に合わせた治療が必要不可欠で、早期発見・早期治療して進行をくい止めることが重要です。
アルコール性肝障害
長年の飲酒習慣・お酒の過剰摂取によって発症する、肝障害の総称です。「お酒の過剰摂取」の定義ですが、一般的には1日平均純エタノール60g以上の飲酒(ビール中瓶3本以上、または日本酒3合以上、焼酎ですと1.8合以上に当たります)だと言われています。 初めはアルコール性脂肪肝を発症し、急性障害であるアルコール性肝炎になると重症化していきます。
肺炎や急性腎不全、肝性脳症、消化管出血、エンドトキシン血症、多臓器不全などの合併症を引き起こすリスクもあるため、最悪の場合は死に至ります。
長期間お酒を大量に飲む習慣を続けると「肝の線維化」が起こるようになり、アルコール性肝硬変、肝がんの発症リスクを高めてしまいます。
アルコール性肝障害は男性の患者様が多いとされていますが、女性は男性よりも少量・短期間の飲酒で発症するリスクがあると指摘されています。
また、元からウィルス性肝炎を患っている方は、そうでない方と比べて、肝硬変や肝がんの発症リスクも高くなります。
薬剤性肝障害
薬が原因で発症してしまう肝障害です。持病の治療として飲まれている薬剤や、健康を維持するためのサプリメントでも、薬剤性肝障害を引き起こす可能性はゼロだと言えません。
肝臓は毒物を分解して排出する解毒作用を持っているため、薬剤も代謝されていきます。このように肝臓は、薬剤の影響を受けやすい臓器のため、予想だにしていない障害を引き起こす可能性もあるのです。
劇症化して肝不全を引き起こし、命を落とす危険性もあるため、薬を飲んだ後に違和感が生じましたら、放置せずに医療機関へ受診しましょう。